舞台の演奏で、上手だな~と思う演奏ってどんな演奏でしょうか?
「上手」という定義も、いろんな視点・角度が考えられると思います。
「ノーミスで弾く」とか、「情感豊かに演奏してる」とか、それぞれ聴く者の趣味好みも含めて自由に感じることだと思います。
演奏者の想いが伝わり、素晴らしいテクニックもあり、、と高等なお話は当然になってくるのかも知れません。
今回は、そんなプロ級のお話ではなく、上を目指して頑張りたいとごく普通に日々練習を積み重ねる子どもたちに焦点を当ててみたいと思います。
![ピアノ発表会の画像](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=990x10000:format=jpg/path/sa6519638519de71a/image/i4d2b4ad8fd971e7c/version/1723465559/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E7%99%BA%E8%A1%A8%E4%BC%9A%E3%81%AE%E7%94%BB%E5%83%8F.jpg)
今回は、先日終了した当教室の発表会の子どもたちの演奏から感じたことを書いてみます。
小学1年生から中学3年生まで、年齢も違えばキャリアも違います。
だいたい3年~5年のキャリアが主流ですが、だからこそ…それぞれに個性と出来映えが違ってきたように思います。
今回が初舞台の子も、5年のキャリアがある子も、いわゆる「いい演奏」と言う意味で見えてくるものがありました。
「止まらないで弾く」とか「きっちり弾けた」とか、そんなレベルのお話ではありません。
![ピアノを弾くときのポジションの画像](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=990x10000:format=jpg/path/sa6519638519de71a/image/i05e31d6154c3b08f/version/1723465523/%E3%83%94%E3%82%A2%E3%83%8E%E3%82%92%E5%BC%BE%E3%81%8F%E3%81%A8%E3%81%8D%E3%81%AE%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%81%AE%E7%94%BB%E5%83%8F.jpg)
みなさんにとって、「上手な演奏」とはどんな演奏でしょうか?
子どもたちに聞いても「止まらないように頑張る」「間違えないように弾きたい」と、口を揃えて言います。
もちろんそうなのです。それが大前提であって欲しいのですが、大事なのはそこではない!と言い続けてきました。
その成果がいろんな形で見えてきた発表会になりました。
では、「上手な演奏」として、何を子どもたちに伝えてきたのかを3つのポイントとして書いてみます。
![脱力した身体で演奏してる画像](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=441x10000:format=jpg/path/sa6519638519de71a/image/i7318c5d502b3247e/version/1723465480/%E8%84%B1%E5%8A%9B%E3%81%97%E3%81%9F%E8%BA%AB%E4%BD%93%E3%81%A7%E6%BC%94%E5%A5%8F%E3%81%97%E3%81%A6%E3%82%8B%E7%94%BB%E5%83%8F.jpg)
「上手な演奏」3つのポイント
①音そのもの
②拍感の中にあるリズムの際立ち
③ペダルの使い方
一つずつ私の見解を書いてみます。
上手な演奏 その①
①音そのもの 響きのある艶のある音
ピアノそのものが持つ、美しい響きと色気にもなる艶のある音。
曲そのものを、作り込んで工夫と研究を詰め込んでも、ある意味素材である音そのものが粗雑であると感動に至らないと思っています。
張りがあり、音そのものがゾクゾクするような生命が宿っていると、聴いてる者に説明などいらない感情として伝わります。
美しい響きのある音や➡響かせる方法はこちらから
色気にもなる艶のある音や
張りがある音や
ゾクゾクするような生命が宿っている音
それぞれを作り出すのは、脱力しかないのです。➡脱力についてはこちらから
そして、その脱力をするためには体の幹がしっかりしてないと全てをコントロール出来ません。
身体の幹をしっかり安定させて、身体全体の脱力をコントロール出来ると、肘の使い方や手首の使い方や親指の使い方など、細部のコントロールに意識が向いていきます。
<発表会の感想>
「脱力」・・力を抜くことをレッスンでとことんチャレンジしました。
なんとか解り初めても、本番はやはり緊張からか身体に力が入ったり、重力を自然に取り込むことが難しい子もいました。
ただ、少しずつ体で覚えていくことで、今までに出来なかったことも少しずつ変わってきました。
劇的に音が変わった子もいました。この子たちに言える特徴は、自分は出来るんだ!と自信を持てる子たちでした。
「心理状態や呼吸」・・これがかなりの決め手になることも再確認出来ました。
※「体幹のゆるい子」・・これもレッスンでかなり気になってました。
骨盤や座骨の話、膝や足裏の使い方もかなりレッスンで取り組みましたが、腹筋や背筋や…日頃からあまり運動することがないのか、線の細い子たちが多くなったと感じています。
脱力に興味のある方➡脱力のワークショップはこちらから
上手な演奏 その②
②拍感の中にあるリズム
これがまた本当に大切なことになります。
リズムが音楽の躍動感を作ります。
たとえそれが長い音符であれ、音楽の拍はただただ刻みだけではありません。
1.2.3.や1.2.3.4など、カウントだけを守って等速に進めても、音楽としての動きにはならないのです。
等速感の中に、前へ進もうとするリズムがあり、鼓動を感じる推進力となるのです。
「リズムとは、拍の刻みである」・・そのためには、やはりメトロノームの練習は必須だと思います。
<発表会の感想>
「家でのメトロノームの練習」をどの子にも何度も言いました。
これをきっちり守れた子は、明らかに出来映えに差が出ました。
「メトロノームの練習」が好きな子は、ほとんどいないでしょう。
ただ、これが大切なのだ!と本人もご家族も実感されたように感じています。
何だかわからない「速く弾くとかっこ良くて上手!」・・という都市伝説??笑
音楽は、拍の中に存在する!!
・・となると、メトロノーム嫌いの子たちをゼロにする!という先生使命があるわけです。
これは、導入期のはずせない3つのポイントとして重要なお話をしています。
この重要性はかなり実感しましたので、もう一度日頃のレッスンへの導入を練り直しています。
上手な演奏 その③
③ペダルの踏み方、使い方
これも最終的に上手な演奏になるかどうかの決め手になります。
ペダルの踏み方にはいろいろあり、今回は深く触れませんが踏む上げるのタイミングや踏む深さ上げる深さ浅さなどなど、言い出すと何通りもあり、研究することは山ほどあります。
まず、むやみやたらと踏んではいけないと言うことです。
せっかくの演奏を壊してしまう・・ということもあるのです。
あとは、打鍵そのものがきっちり出来てないと、不明瞭になるということ。
踏むタイミングは、耳が命であること。
このようなことを、日頃のレッスンから注意深く考えられることがとても大切になります。
ホールは残響があります。日頃のピアノよりも大きく、響きも豊かに出ます。
そこを考えた上で、ホール演奏は日頃と若干違うのだと計算しなければいけません。
<発表会の感想>
日頃から、ペダルを踏まない「生の音」をよく聴くようにレッスンしています。
「生まれたての音」を聴いてその素敵な音を響きを保ち増幅させるためにペダルを踏むのだ!
と、「弾いてから踏む」というタイミングを何度も練習します。
音の出た瞬間に踏む場合もあれば、音の響きを聴きとってから踏むタイミングもあり、それは曲のニュアンスで様々になってきます。
と、日頃からやってたつもりですが、速いパッセージの細かい踏み替えは、コントロールがしきれてなくて曖昧な音楽になってしまいました。
「音を聴く」・・ということも、やはり難しい話なのだな、と思いました。
ソフトペダルも、今回数名挑戦しましたが、やはりペダルの使い方の前に打鍵の仕方だな、といろいろ学ぶことがありました。
上手な演奏 3つのポイントまとめ
「上手な演奏」=「いい演奏」とありたいために、曲作りの前に基本的な音楽の魅力の目線で考えてみました。
①音そのもの
②拍感の中にあるリズムの際立ち
③ペダルの使い方
これをきっちりと考えられることから全てを出発させると、最終的な完成によりスムーズに進んで行けると思います。
あと、ホール演奏の感動は「pの音に技あり」
これも、かなり実感したことです。
どんなに小さな子でも、簡単な曲でも、音の大きさを工夫出来て、pの音に気持ちを込められることは、聴く者に感動と印象を深く刻めるのだということです。
あと、これも絶対に大事です!⬅これについては、次回書きます。
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発表会や、ホール演奏。
自分の演奏だけでなく、お友達や他の演奏から学べることが沢山あります。
いろんな演奏を聴いて、いろんなヒントをもらって自分の演奏に生かしていきましょう!