曲にもよりますが、ペダルを踏む曲に出会うと嬉しくなっちゃいますね。
美しい流れになったり、ダイナミックに作れたり・・弾いていて楽しくなります。
ただ、このペダルには「踏み方」もあれば「上げ方」もあり、その精度によって仕上がりが全く変わってしまいます。
よく子どもたちに言うのは、ペダルはラッピングの様なもので、中身が高価なプレゼントでも包むものが新聞紙であるとどうでしょう?
素敵な包装紙やリボンで包まれてると、気持ちもワクワクしませんか?
ペダルは、演奏に彩りを添えたり、響きや感情の深さを加えることができます。
ただ「踏むや上げる」だけに留まるのではなく、音楽を仕上げるためにペダルのテクニックは必要不可欠になってきます。
では、「踏み方」「上げ方」について何に気をつけていけばよいでしょう。
一つずつ解説していきます。
初心者から使える!濁らないペダリングと美しい響きの作り方
ペダリングのテクニックは、初心者もベテランも基本を抑えることから始まります。
音の持続や音量、音色に大きく関わるため、ペダリングのテクニックは表現豊かな演奏にとってとても重要になります。
ペダリングのお話はとても奥深いのですが、今回は「初心者のペダル」として基本から書いていきます。
- ペダルの役割とは
-
各ペダルの特徴と踏み込む足のポイント
- 濁らないペダルの踏み方と上げ方
- タイミングを“耳”と“足”でつかむコツと練習法
- ペダリングとは、美しい響きを作るため
- まとめ
ペダルを上手に使うことで、同じフレーズでも「よりなめらかに・より豊かに」聴かせることが可能になり、音が空間に広がるように感じられます。
手だけでは表現しきれない音の持続・重なり・残響・空間感を補ってくれるのがペダルです。
それによって、ピアノのおとが「生きている」ような自然な響きをまとい、演奏全体にぬくもりや余韻が生まれてきます。
※より美しい響かせ方もあり、「応用テクニック」として、中級者以上の記事をご覧下さい。
1.ペダルの役割とは
ペダルの役割とは?:ペダルって何のためにあるの?
「ペダル」は、ただ音を伸ばすためだけの道具ではなく「音楽の表情や深みをつくる響きの魔法」として、非常に重要な役割を持っています。
手だけでは表現しきれない音の持続・重なり・残響・空間感を補ってくれるのがペダルです。
特に使われるのは、右足で操作する「ダンパーペダル(サステインペダル)」。
このペダルを踏むことで、鍵盤から指を離しても音が響き続けるようになります。
2.各ペダルの特徴と踏み込む足のポイント
写真①<各ペダルの基本的な機能と役割>
1.右➡ ダンパー(サステイン)ペダル
全てのダンパーを弦から持ち上げ、音を自由に響かせる。
音の持続、音量の増大、音色の豊かさ 、レガート、響き、和声の連結
2.中央➡ソステヌートペダル
ペダルを踏んだ瞬間に押されている特定の音のダンパーのみを持ち上げその音だけを保持。バス音の保持や複雑な和声の分離
3.左➡ウナ・コルダペダル/ソフトペダル
(グランド) ハンマーを横にずらし打弦数を減らすか、ハンマーの柔らかい部分で打弦。(アップライト) ハンマーを弦に近づけ、打弦距離を短縮。
(グランド) 音色の変化 (柔らかく、こもった音)、音量減。(アップライト) 音量減のみ。
弱音や音色の変化、イメージの変化。
青丸●の部分が足の親指を乗せる場所
写真②<ペダルに乗せる足の場所>
・親指の付け根の関節をペダルのヘリ(上記写真青○)に当てます。
・親指以外の他の4本はペダルを包み込むようなイメージで。
・ペダルの押し方として、真下に下げるのでは無く車のアクセルを踏み込むような感じで、少し向こう側に押しだし降ろす感じ。
・左のソフトペダルの場合は、他の指も親指と同じように関節の硬い所で踏みます。
※指で踏むと不安定になるし、細かいコントロールが出来ません。
足の土踏まずや奥の方で踏むと、ハーフやクウォーターなどの感覚がつかみにくいです。
青丸●の部分でペダルを踏みます
3.濁らないペダルの踏み方と上げ方
■ダンパー(右)ペダルの特徴
ペダルは全部で3つあるけれど・・ダンパー(右)ペダルのしくみと基本操作
それぞれに名前と役割(上記画像を参照)がありますが、初心者~中級者が圧倒的によく使うのが右ペダルです。
それぞれの状態での音の印象
- ペダルなし➡音がパッと消える、硬くて短い印象
- 踏みっぱなし➡音が重なり濁る、輪郭がぼやける
- 正しいタイミングで踏み直し➡音がきれいにつながる、響きが美しい
ペダルを踏み直す(ペダルチェンジ)とは?
「踏んだままにする」のではなく、音が変わるごとに上げて→すぐに踏み直すこと。
これにより、前の音の響きを切って、次の音がクリアに鳴るようにすること。
踏み替え(ペダルチェンジ)が上手くいくと
- 響きがモヤモヤせず、スッキリした音になったり、立体的な音になる
- 音と音の「つながり」と「切り替え」が自然に作れる
ペダルは「ただ踏む」だけでは美しく響きません。「音が変わるごとに上げて→すぐに踏み直すこと」になりますが、
「いつ・どう踏んで・どう上げるか?」というタイミングのセンスが響きの質を決めます。
そしてこれを上手く成功させるには、「にごる・きれい・響いてる」を判断する「音を聴くこと」がとても重要になります。右ペダルの操作で音が濁る原因は「技術の不足」ではなく、「響きを聴きとる意識」がまだ育っていないだけ、ということが多いです。
☆プチ体験ワーク:音の違いを体験しよう!
- 右手で「ドミソ」→「ファラド」→「ソシレ」をゆっくり弾く
- ペダルなし→踏みっぱなし→チェンジありの3通りで弾く(録音するとより効果的)
- どれが一番自然で美しい響きか?を耳で選んでみる
「耳を使う・耳で判断する」トレーニングをしていきましょう。
音を「聴いて」「感じて」そして「動かす」
そのような意識を育てるために、次のことをチェックして見ましょう。
■音が濁らない!正しい踏み方・上げ方・タイミング
「ペダルを踏む」とひとことで言っても、正しい姿勢・踏み込みの深さとタイミング・下げ方のタイミングなど、いろんな事がそろってはじめて美しい響きが生まれます。
一つずつチェックしていきます。
1. 足の位置と姿勢を整えよう
ペダル操作は、足と身体の使い方にも大きく影響されます。
基本的なポジションを見出すだけで、ペダル操作が格段にしやすくなります。
- イスの高さは、足の裏がしっかり床に着くように調整する(小さなお子さんは必ずペダル台かアシストペダルを使用すること)
- 右足のかかとは常に床につけたままにする(浮かないこと)
- 膝が90度以上になること(ピアノに近すぎたり、イスが低すぎない ペダルを踏み込む足をかかとや膝でしっかり支える)
- 写真①の部分に写真②親指の付け根の関節を当てる感じ
2. 踏み込みの深さとタイミングとは?
深さ:
ペダルの底までギュッと深く踏み過ぎてしまわないこと(音が飽和しすぎる)
八分目くらいで踏む方が、美しい響きになります。
ただ、この感覚も一番深いところからだんだん浅くまで、音を出しながら試して自分で感触をつかむことです。
中級以上になってくると、ハーフ(半分)クォーター(1/4)など数限りなく深さを調整していきます。
(中級者以上の記事をご覧下さい)
タイミング:
出す音と同時に踏むと濁ります。「打鍵の時に上げて、そのあとすぐに踏み込む」
タイミングの説明として当教室では、「音そのものの響きを拾う」と伝えています。
小さな子たちには、「生まれたての赤ちゃん、はだかんぼうで出てきた赤ちゃんを、そっと毛布でくるんであげる感じ」
出た瞬間の響きを聴きとる大切さと、それをやさしく拾い上げるペダルは、「踏み方や上げ方」というより、出した音に対してのタイミングで、「自分の腕や指先と、足との連携」だと思います。
3. 「上げ方」が美しさを左右する
意外と見落としがちなのが「ペダルを上げる」タイミングと方法です。
「上げるスピード」「ペダルを戻す深さ」など、これも中級以上では様々な種類があります。
(中級者以上の記事をご覧下さい)
初級の間は、「前の音の響きを消しつつ次の音へ、レガートになめらかに繋げていくこと」を目標に頑張りましょう。
4.ペダルのタイミングを「耳」と「足」でつかむコツと練習法
<よくある失敗と対策>
- 踏むのが早すぎる➡<現象>音が出る前に踏んでしまう➡<対策>音の後にペダルを踏む(音を弾いた瞬間上げてから)
- 上げるのが遅い➡<現象>新しい音と前の音が混ざり濁る➡<対策>音を弾いた瞬間上げてからペダルを踏む
- 上げたあと踏み直すタイミング➡<現象>音が途切れたり音が重なり濁る➡<対策>音を弾いた瞬間上げて次の音を弾く瞬間まで踏む
☆実践練習:和音チェンジでタイミングをつかもう!
例:①和音でやってみる
Cコード(ドミソ)、Fコード(ドファラ・ファラド)Gコード(シレソ・ソシレ)
✔それぞれの和音が濁らず、切れ目なく自然につながっているかを耳で確認
例:②単音でやってみる
ド→レ→ミ→ファ→ソ(一音ずつ踏み替え)
✔音や動かす指と足のタイミングを覚え、「繋がる・濁らない」感覚を身につける
例:③あえて濁るをやってみる
ペダルをズッと踏みっぱなし、上げ下げのタイミングを考えない
✔録音して聴き比べることで、「濁り」と「美しいつながり」の違いが体感できます!
ペダリングは「自分の腕や指先と、足との連携」で、出した音に対してのタイミングになります。
一連の動作を「耳」を使いながら、身体で覚える!
動きは「手と足」ではなく「音と耳」という感覚を育てましょう!
5.ペダリングとは美しい響きを作るため
ペダルを踏んだ状態で同じ和音を弾くと、音が空間に広がるような感じがしませんか?
「ピアノの音がまるで生きているかのように響きをまとい、深みや温もりのある余韻が生まれます」
まさに、音楽が立体的になる感覚があります。
ピアノの種類の違いやホールでの演奏は、空間の広さや届けたい音楽の種類によって、響きが変わります。
淡く響かせたいときや、残響を長く残したいとき、その都度、ちょうど良い深さやタイミングをコントロールします。
このようなペダリングのテクニックは、響きの質を変え、センスある演奏になり音楽に余裕が生まれることでしょう。
ペダルは踏む・上げる・浅く・深く・タイミングの全てを組み合わせて使うことで、音楽をコントロールする道具です。
上手なペダリングは、音楽にたっぷりと表情を加えてくれます。
足で音楽を作る!と言っても良いかもしれません。
ペダルは「音をつなぐ」「響きをつくる」道具
✔音を変えるときに、耳で響きの変化を聴く
✔動きは「手と足」ではなく「音と耳」でつなぐ意識を持つ
このような習慣をつけながらペダルの変え方に取り組みましょう
まとめ
ペダルの基本操作・ペダリングのコツや練習方法・美しい響きを作る方法などご紹介してきました。
どうして初心者がペダルで苦労するの?
ピアノのペダルは、踏み方によって音が激変します。
でも、その変化は目では見えず、耳と感覚だけで判断しなければならないために、初心者にはとても難しく感じられます。
特に多い悩みが…
- 音が濁る
- いつ踏んで、いつ上げるかがわからない
- 踏みっぱなしで音がモヤモヤする
これらは全て「ペダルを響きの道具として意識出来ていないこと」が原因になります。
ペダルの様々なコントロールは、演奏者の「耳の感覚」と「こうしたいという思い」や「目的」を持つことで育てられていきます。
「踏み方」ではなく「聴き方」を変える
「どう聴こえるか」を中心に、演奏者自身が判断できる耳を育てること。
この視点で取り組むことで、音楽的で美しいペダリングへの最短ルートとなります。
「音を聴く力」がすべての鍵になる
ペダルの研究は、演奏技術よりも「耳のセンス」を育てる勉強の場になります。
「音」から「響き」へと耳が開く第一歩になるでしょう。
「にごり」は成長のサイン
「濁る」と感じるということは、「響き」を意識し始めた証拠です。
「なんだか変だな」と思えた瞬間から、耳が育ち始めています。
そして、それは「どんな音を出したいか?」という演奏者の意図の表れです。
これからペダルを学ぶ人へ
最初はうまくいかないこともあるでしょう。
「濁ってしまった…」「タイミングがずれる…」と感じる日もあるかもしれません。
でも、それは「聴こうとしている証拠」です。
ペダルの練習は、あなたの耳の感性を育てる最高のレッスンでもあるのです!
最後に:音に「余韻」をつけるということ
ペダルは、音を「長く」するだけでなく、音に「気持ち」を込めることが出来ます。
音の終わりに、少しだけ残る「揺らぎ」や「温もり」など「余韻」を感じるだけで、演奏者の心が聴き手に届きます。
どうぞこれから、ペダル練習で音へのこだわりを深めて、あなた自身の「響きのセンス」を磨いていってください。
次の段階、中級者のペダルはこちらから


