メトロノームは、一定の速度を保ったり、拍をきっちり刻んだり、リズムの確認や音楽の流れを止めない練習をするのに、最適なツールです。
ただ、使い方を間違うと逆効果になってしまうことがあります。
メトロノームを上手に活用すると、拍を身体で感じられるようになり、安定した流れで演奏できたり、リズム感も身に付きます。
実際に曲を演奏するときに、メトロノームの一律なテンポで弾くわけではありません。
柔軟なテンポの揺れや、音楽性豊かに弾くために、メトロノームを使って立体感や空白感も養うことができます。
これから数回にわたり、ピアノ練習に効果的なメトロノームの使い方を、初心者・初級者・中級者に分けてご紹介してまいります。
今回は以下について紹介します。
- メトロノームの種類
- それぞれのメリットとデメリット
メトロノームの種類とメリット・デメリット
メトロノームは、振り子式・電子式・アプリと、3つの種類があります。
それぞれのメリットとデメリットをご紹介し、最後に私の見解も書きます。
◆振り子式メトロノーム
まずは振り子式のメトロノームのメリットの紹介です。
- 音が自然(意外と他の楽器に負けず聞きとりやすい)
- 振り子の動きが視覚としてとらえられ、拍と拍の間を感じることができる
- テンポ設定(重りを動かすだけ)が簡単
- それぞれの速さによって、振り子の動き(重み)を感じ取れてイメージがふくらむ
続いてデメリットです。
- 誤差が生じる(水平に置かなければいけない)
- 音量調整ができない(イヤホンや消音の操作が不可)
- 細かい単位(裏拍)の設定ができない
- 精密な機械のため取り扱いは丁寧に
◆電子式メトロノーム
そして電子式メトロノームのメリットを紹介します。
- 持ち歩きに便利
- 音量調整、イヤホンが可能(夜間練習に便利)
- 細かい単位(裏拍)の設定ができる
- チューナーが付属(ギターなどチューニングが必要な楽器には必須)
次にデメリットです。
- 電池交換がいる
- 音色を選べるものもあるが、電子音は否めない
- 視覚として動くものもあるが、拍に立体感がない
◆様々なアプリのメトロノームについて
最近ではアプリのメトロノームは様々ありますね。
最初にメリットの紹介です。
- 無料でダウンロードできる
- 電池交換は不要
- 途中で拍子やテンポを変えるプログラミングができる
そしてデメリットです。
- スマホの通知音などに邪魔されることがある
- スマホの充電が必要
藤井ピアノ教室で使い分けるメトロノームについて
メトロノームの種類を選ぶには、便利を重視するのか、その時々の目的で選ぶかで、違ってきます。
ちなみに、藤井ピアノ教室では電子式と振り子式を使い分けています。
私が一番重要視してるのは、拍の軌道が見えることです。
メトロノームの音とピアノの音にズレや乱れをなくすため!だけに使用してないからです。
単純に音を聞いて弾くだけの練習では、メトロノームに合わせる練習にとどまることが多くなります。
拍を感じたり、次の拍を予想できるようになることが大切です。
メトロノームを使う目的の基本は、等速感や拍感を養うことです。
リズムの刻みを確認したり、一定のテンポの中で崩れたところはないか、などをチェックするために使います。
★ただ、合わせることだけを重要視すると、音楽性が乏しくなります。
なので学習年数で、メトロノームの種類や使い方を変える必要があります。
電子式メトロノームの教室での事例
長年、光が流れる電子式のメトロノームを使っていますが、教室での事例をいくつかご紹介します。
ついつい振り子を見てしまうので・・・
- 指がスムーズに動かなかったり
- 打鍵ミスをしたり
- 合わせることを意識するため音楽表現が貧弱になる
- 見て聞いて弾くため、拍が乗り遅れる
弾くことがおぼつかない間は、振り子であろうが電子であろうが、メトロノームをかけながらの練習は良くないことがたくさん出てきます。
また、音を聞くだけできっちり弾けるように背後に置いて練習すると、もっと弾けなくなるかどんどんズレるかになります。
やはり、メトロノームを最大限に有効活用するには、使い方と使う手順が重要です。
そしてメトロノームを使った練習で大切にしたいことは・・・
●初心者、初級者は
- 音符とメトロノームのカウントが、きっちり合うこと。
- テンポの中で、読譜がスムーズにできること。
●中級者~は
- メトロノームを、音の乱れを整えるだけでなく、立体感や空白感をイメージしながら、音楽のニュアンスを取り込むこと。
一番大切な事は、初級の段階でしっかり活用できること!です。
そのためにはメトロノームの使い方と練習の仕方が重要になります。
次回は、その大事な初心者、初級者のメトロノームの使い方と練習の仕方をご紹介します。