らくに弾くと、指もなめらかに速く動くだけでなく本来のピアノの美しい音を引き出すことが出来ます。
では、「ピアノをらくに弾く」ための方法として、実際に弾く時にどうすればいいのか?
音の出し方・打鍵の仕方として具体的な4つの奏法 ・スタッカート ・スラー ・長い音 ・強弱のつけ方 をピアノを響かせる打鍵のやり方で自由自在に音を操ろうでご紹介しました。
あらゆる曲に出てくるこれら奏法の基本をマスターすることで、ピアノを美しい音で弾くことの土台固めが出来るでしょう。
ただ、この基本の打鍵のやり方の前に見逃しがちな肘の使い方のポイントを抑えると劇的な変化に出会えます。
上質な音を作るための肘の使い方と考え方
ピアノ演奏において、肘は音色や表現力をコントロールする重要な役割を果たします。
まずピアノを弾く時に、指先のテクニックにこだわりいろんな練習をしていくと思います。
指先のタッチの仕方・響きを求めて腕や手首の使い方を研究します。
もちろん最終的にピアノを触る指の先に、テクニックが集約されるのですが、その指先は➡手の甲・平➡手首➡腕の元は肘になります。
もっというと、上腕であり、肩になります。大きな音や重和音は肩甲骨から弾きなさいともよく言われます。
そうですね。身体は全部繋がっているわけで、指先だけのテクニックやコントロールではないということになるのです。
では、「肘の使い方」は、どのように考えればよいのでしょうか。
肘の力を抜いて重みを移す
イメージとして:「前へならえ」縦の整列の時の合図
肩の力を抜いて肘を曲げ、前後に揺さぶる感じです。
肘の真後ろから前方へ押される感じで、力を入れて動かすのではなく、自然な動きです。
前に揺さぶることで、重みが腕➡手首➡手の甲・平に移動する感覚を持ちながら、最終鍵盤を触る指に重みを流していきます。
逆に、後ろに引く場合もあります。抜き取るような音の時にこの動きになります。
肘の力を抜いて可動域を広げる
ピアノ演奏は、ピアノの中央に座ります。
演奏者の肩幅くらいの音域だと、らくな脇の緩みで弾けますが、高音域・低音域と幅が広くなった場合、必要以上に肘を張らない(外側に広げすぎたり、肩を上げて肘も釣り上げてしまわない)ことが大切です。
弾いている手位置より、外側に肘を張らないこと。
イメージとして:机を布巾で拭く感じです。
手位置が動く、その延長線上に肘がついていきます。
拭く動作、肩を上げるでしょうか?肘を吊り上げるでしょうか?ごく自然な横へのスライドの動きになるはずです。
ピアノ曲は、さまざまな音型があります。音階のように隣の音であったり、跳躍する音型、上がり下がりが複雑なもの。
限りなくいろんな動きが出てきますが、全て指を動かす意識の前に、肘がそのポジションへと誘導する感じです。
もちろん、瞬間の動作になりますが、指で音を一生懸命追いかけるのではありません。
音楽の流れや方向性は、肘や腕の動きで作っていきます。
肘の使い方で音幅・素早い動き・粒揃えをマスター出来る!
【肘の使い方】で音幅(オクターブや跳躍音)の音型をマスター
まず、オクターブなのですが、小さなお子さまや手の小さい音なの方、指が開かない方、、などなどオクターブに苦労しますね。
もちろんオクターブの和音もですが、なめらかに1オクターブの音型を弾くのは本当に難しいです。
肘で誘導すると、なめらかな移動は出来ます。
オクターブの和音も、指の位置でかなり克服できます。
オクターブを弾こうとする前に、開こうとして手の平や手の甲、指に力が入ってガチガチになってませんか?
これでは開きませんし、たとえ届いても固い音になるし疲れます。肩も上がってしまいませんか?
<親指と他4本の指>
親指は横向きに、他4本は同じ方向にまっすぐ伸びます。
この親指と人差し指の間が、いかに広がるかで手のサイズが変わります。
まず、この部分を広げる練習が大切になります。
オクターブの練習は、指を広げるのではなくこの部分から広げます。
小さなお子さまも、開きづらい大人の方も劇的に弾きやさを感じておられます。これは、別記事に詳しくご紹介する予定です。
オクターブを取れるようになって、それをなめらかにつなげるには、まず肘からその音域に横にスライドします。
そして、前に肘を送ります。鍵盤上では、親指が手前小指が奥の位置になります。
また、オクターブの連続は親指が奥、小指が手前で小指側に意識と重みを移していきます。
もちろん、指で鍵盤の移動を考えるのではなく(一つづつ鍵盤に指を合わせない)肘で鍵盤幅を誘導します。
この時に手首の脱力と、手首で鍵盤の移動もします。
肘の次に手首があるわけなので、当然のことになります。この時、どちらも脱力されてることが最も重要です。
【肘の使い方】で素早い動きをマスター
まず、「ピアノを弾く」とは指を動かすこと。と思いますが、この「動かす」の考え方かも知れません。
もちろん指は動かすのですが、必要以上に上げません。
しっかり動かして、はっきりした音で弾いて!と言われ一生懸命に指を運動させます。
これをすると、スピードも出ませんし音が一音づつ独立して、なめらかに繋がりにくくなります。
しっかり動かして:これは、打鍵(鍵盤を下ろす)ためにしっかり筋肉を使いますし、離鍵のために指の動きをコントロールしなければいけません。なので「しっかり動かす」と言う意味はその通りです。
はっきりした音:これは力ではなく打鍵の速度ですし、打鍵の深さなので「動かす」と言う意味ではありません。
では、肘の使い方で素早い動きとは、どのようにすれば良いのでしょう。
しっかりと鍵盤の上げ下げが出来たら、指先をなるべく鍵盤を触っている状態で(音型により難しい時もある)ある意味一つのフォームを意識します。
その形をイメージして、音型の方向へまず肘で横に誘導しながら、前の肘スライドします。
丁寧にボールを転がすようなイメージです。決して一本づつ指をバタバタ動かしてはいけません。
そしてこの時、鍵盤の下まで下げない事が重要です。
深さや重みの乗せ方は、f、p、で変わってくるので、パターンは幾通りもあります。
<例えば素早いとは>レッスンで、小さな子たちには「リュックサックにいっぱいの物が入っていたら、速く走れないでしょ?」
と伝えています。それだけで速く弾くには軽く!のイメージが作れます。
【肘の使い方】で粒揃えをマスター
まず、「粒を揃える」って何でしょう。。音の粒がガタガタしてるってこと?
- 音と音がなめらかに繋がって聞こえない
- 音そのものの大きさがばらついてる
そんな感じじゃないでしょうか。
・音と音がなめらかに➡指をばたつかせず(一音づつ上げすぎない)、指から指に重みを移す(フィンガーレガート)
この時、肘から誘導して音の方向に肘を斜め前にスライドさせ重みを移す。
・一音ずつの重み(1.2.3.4.5指それぞれの重さ)が均等であったり、クレッシェンドであれば、一音ずつの重みの変化をつける。
これも全ての指に対して、肘で重みを誘導し腕や手首や指の関節で整える。
フィンガーレガートについては、また別記事で書く予定です。
脱力した肘で自由自在に可動域を広げる
肩を上げたり、脇を締めたり、息を止めたり、、
難しい箇所になると、身体が縮こまったり鍵盤や楽譜をジッと見てリラックス出来ない状況になりがちです。
また、大きな音や多重音を弾くとき、気合いが入ったり力で弾こうとして身体が硬くなります。
とにかく、ピアノは力で弾くのではないと言うこと。
大きな音も、強い音も、力の大きさではなく重みの加減と打鍵の速度と深さと方向なのです。
自由に空間へ放たれる音は、上半身の脱力、いわゆる無駄な力みや硬直が良くないわけです。
音楽の要求によっては、瞬間身体をキュッと引き締めることも多々あります。
肩の自由な動きもとても重要ですが、繊細なピアノテクニックは肘から先の腕や手首や指関節の緩みや支えも、様々な音楽表現に密接に関わりがあります。
肘が自由自在に可動域を広げると、身体の前の空間も広がり、目線も遠くを見ることが出来て、音楽が豊かに表現できるようになります。
肘の使い方でさまざまな音色を表現できる!
スラーやレガート、スタッカートや大きな音、小さな音、響きのある音や柔らかい音…
いろいろな奏法は、指先のテクニックが最後に一番大切になります。
でも、その細かいコントロールは、肘や腕の使い方一つで全然違った物になります。
様々な部位を、様々な使い方でいろんな音にしていくピアノ。
いったい何通りあるのでしょう。。
考えると、とても難しく感じますが、考え込んでしまうのではなくいろいろ試して自分のイメージする音を探していく。
これが、ピアノの面白さであり深いところです。
「解放された肘」これで、今までの演奏とひと味違う音楽の世界に出会われることを期待したいです。
今回も、言葉でお伝えすることの難しさを痛感しました。
動画で説明…も検討しなければ・・と思っています。
肘の使い方も、「ピアノ演奏がらくに弾ける!無駄な力を抜くための実践会ピアノ学習者向け」
の実践会でお伝えしています。
- 何だかよくわからない
- どうすればいいのかわからない
- らくに使えてるのか見て欲しい
などなど、いろんなご質問にお答えしながら実践しています。
3月の開催まで無料でご参加いただけます。
この機会をどうぞご利用ください。
らく弾く実践会 3月の開催日 4回です。
3/10(日) ①10:30~11:30 ②20:30~21:30
3/24(日) ①10:30~11:30 ②20:30~21:30
お申し込みはこちらから
ピアノを学習されてるみな様が、少しでも自分の想いに近づき「ちょっと弾きやすくなったんじゃない?」「何だか楽しくなってきた!」
そう思って頂くことが、私の願いです。
どうぞ参加されて、今までの疑問や確認したいことを聞いて、納得やヒントをお持ち帰りください。