ピアノ演奏において、美しい音色を響かせることは重要な目標の一つです。
ピアノ演奏をする私たちは、ピアノの音を響かせて、美ししい音色で聴く人を魅了したいと思いますよね。
次のポイント7つをマスターすれば、響きのある美しい音色で演奏できる道を歩み始められることでしょう。
一つずつポイントチェックしてみましょう。
響きとは?どういうこと?
まず、響きとは何でしょう?
響く音と響かない音として、親子の住まい方教室さんが書かれています。
そちらを拝借させて頂きました。
同じ音でも、部屋の中で聞くのと公園など周りに建物がない広々とした場所で聞くのでは全く違って聞こえます。
その違いは「音が響くか響かないか」によります。「音が響く」と言うことは、音が長くその場所にとどまると言うことです。
広々とした場所で音を出した場合、音は空気を伝わって遠くへ行ってしまい、やがて聞こえなくなってしまいます。
つまり、音が響かないのです。ところが狭い部屋で出した音は、目で見ることはできませんが壁や天井などにぶつかり、部屋の中を何度も行ったり来たりします。それで音が長く聞こえるのです。
また、音の響き方は場所だけでなく、ぶつかるものによってもずいぶん変わってきます。
例えば固いツルツルしたタイルやコンクリートなどは音を大きく跳ね返すので、こうした素材に囲まれた部屋では音が良く響きます。
お風呂場など閉め切った狭いところで声が響くのは、こんな現象が起きているからなのです。(お風呂場で歌う歌はエコーがかかり上手に聞こえますね)
柔らかい毛皮やクッションなど、ふかふかしたものは音を跳ね返しません。(これを吸音と言います)
そのため、こうしたふかふかと柔らかいものが多い部屋では、音が響きにくいのです。
ピアノの音を響かせる
では、実際にピアノで音を響かせるとは、どういうことなのか?
ピアノは打鍵して音を鳴らします。
ハンマーが弦を叩いて音を鳴らすわけですが、当たった瞬間の音、例えばドの音を弾いた時、ドッとはならないはずです。たとえ短い音でも速い音でも、ドぉ・レぇ・ミぃ・となっています。
(意味が伝わるでしょうか)いわゆる、子音の部分になります。
スタッカートの音は瞬間の長さなので、そんなはずはない!と思われるかも知れませんが、それは瞬間に叩いているというだけで響を抜き取ってないと言えます。
いわゆる「瞬間に出たあとの、伸びた音」⬅これが響きなのです。
その伸びた部分をいかに美しく引き出すかで、豊かな響き・響きの多い音になります。
豊かな響き・響きの多い音
を出すために大切なことが、弾き方であり、身体の使い方であり、耳の使い方になってきます。
これについては、ポイント7つの中で触れていきます。
ピアノの音を響かせる7つのポイント
- 脱力が全ての基本
- 重力を使った演奏
- 指先の使い方
- 本当は一番大事な聴く力
- タッチのいろいろ
- ペダルの使い方
- イメージを膨らます
7つのポイントを一つずつチェックしてみましょう。
ピアノの音を響かせるために:①脱力が全ての基本
力が入ると、音が固くなり詰まった感じになります。
手だけでなく、腕や身体全体がリラックスした状態で、各部位を止めない・固めないことが大切です。⬅各部位こちら
また、座り方や弾く姿勢なども、響く音を作るためには重要です。⬅座り方・弾く姿勢はこちら
<筆者見解>:打鍵とは、弦をたたくわけですから、ある意味衝撃音になりかねません。
車でも、衝撃を緩和させるためのクッション装置が付いていたり、橋なども隙間を空けて設計されてるように、物と物の間に空間や緩みがあると、破壊的なものにならないのだと思います。
ピアノを弾く手や腕には、たくさんの関節があります。この関節が、クッションになります。
これを上手く使うことと、鍵盤が戻ろうとする力を感じることが大切になってきます。
このためにも、脱力が全ての基本となるわけです。
ピアノの音を響かせるために:②重力を使った演奏
- 指の重みを鍵盤に自然にあずける
- 腕の重みを使って音に深みを与える
ダイナミクスの使い分け、いわゆる音の「強さ」「弱さ」「深さ」「浅さ」は、自然な重みを肩➡腕➡肘➡手首➡手➡指へと移して、流していく。
そして、関節を固めないで手のひらや腕の裏側(手のひら側)で出た音を包み込む感じになります。
<筆者見解>:レッスン時の例え話で、コトコトと煮詰まった鍋の蓋をゆっくりと湯気を逃がすように、音の響きが広がっていくイメージを説明してます。ゆっくり丁寧に湯気の広がりを感じるように、目では見えない音の響きを感じてもらいます。
ピアノの音を響かせるために:③指先の使い方
- 指の腹全体で鍵盤を包み込むように
- 指先で音の粒を割る
指のいろんな部分(面や点)を使う時も、指の先だけではなく手のひらや腕・肘も連動することが大事です。
そして、重みを止めないこと。
音は、空気の振動です。空間に響きを放つように、遠くに意識を持つことが広がりのある音を作ります。
これが音量ではなく、響きの豊かさと量になります。
<筆者見解>:レッスンでピアノの先(前方)から聞こえる音を聴いて!とよく言います。
弾くことに集中すると、楽譜や手元に目線が行き側鳴りの音を聞くだけに終わりがちです。
演奏にゆとりが出てきたら、空間に鳴る音を聴くことが響きを聞くことになることを説明します。
ピアノの音を響かせるために:④本当は一番大事な聴く力
①②③④と、ピアノの音を響かせるために大切なポイントを上げました。
でも、最初の第一歩である「響きとは何?」や、やがて「良い響きとは?」と弾き比べても、聴き取る耳が一番の課題になってきます。
ただ、簡単でもないし、分かりやすくもない事です。
響きとは、感じ取るもので弾き比べて解っていくことかも知れません。
「響き」というものに意識を持つこと。そしてどこに意識を持てば、より豊かな響きになるのかを探っていくことで聴く耳も育っていきます。
ピアノの音を響かせるために:⑤タッチのいろいろ
ピアノ演奏の基本である
- スタッカート
- スラー
- 長い音
- 強弱のつけ方
は➡「ピアノを響かせる方法で打鍵のテクニックを磨いてさまざまな音を作り表現力をアップ!」の記事に書きました。
打鍵のスピードや、力加減でいろんな音を作ります。
打鍵だけでなく、離鍵(鍵盤から指を離す)にも、かなり重要なポイントがあります。
そして、音のイメージによっては遠くに飛ばして大きな広がりを作りたい場合や、下へ落としたい陰鬱な音や、様々な音の表現があります。
鍵盤上、前方にボールを転がしたり、飛行機の滑走をイメージしてピアノの先(前方に)音を広げる場合もあれば、落とす手を自分の方へ巻き込む場合もあります。
いろいろなタッチや方向で、多種多様な音作りが出来ます。
ピアノの音を響かせるために:⑥ペダルの使い方
ペダルは、音の余韻を膨らませたり、美しく響く音を持続させたり出来ます。
音楽のスケールを増幅させる、とても重要なツールです。
タイミングや深さによって、これも様々な表現が出来ます。
指に無数のテクニックがあるように、ペダルの使い方もただ踏むや上げるだけではありません。
よくよく考えると、ペダルの練習のためだけのテキストって、どのくらいあるのでしょうか。
このテクニックの世界は、⑦の領域になるのかも知れません。
ピアノの音を響かせるために:⑦イメージを膨らます
①~⑥まで、ピアノの音を響かせるためにいろんなポイントがあり、いろんな方法があることを書いてきました。
どんな音にしたいのか、どんな響きが欲しいのか、
このイメージがなければ、ただ「弾けたか弾けないか」「疲れるのか楽なのか」という現実的な善し悪しで終わってしまいます。
「大きい小さい」や「速いや遅いや」など、表面の見た目ではなく、ピアノ演奏は目に見えない響きの美しさや想像の世界のイメージを膨らませることで、音楽に深みが宿ります。
一人一人の独創的な唯一無二なオリジナルの世界になるのです。
「イメージを膨らます」これこそが、聴衆を魅了出来る演奏になり、感動を与えます。
今までお伝えしてきたことが、ピアノを演奏される方へ少しでも役立つ情報であることを願っています。
毎日の練習が、発見と喜びに溢れますように♡