まず、マムシ指とは何でしょう?
①の指:親指の第二関節が凹むこと
②③④⑤の指:第一関節がそること
どうしてそうなるのか?原因として
①の場合:筋肉の使い方と動かし方に関係します。
②③④⑤の場合:関節が弱かったり、強く押しすぎたり、手首や指先の使い方に関係します。
何故、マムシ指だと良くないのか?また、改善するとどんなメリットがあるかを次に書いてみます。
それぞれの関節が凹むマムシ指
「手を丸く、指先で弾いてね」と言われると、下写真のような手のフォームになる人も多いのではないでしょうか?
それぞれの関節が凹んでしまう理由があります。
親指の第二関節が凹む
その他の指も、丸くしようとするからか第3関節が凹む
親指の第二関節が凹む
母子内転筋(下の写真赤部)
に力が入って親指と人差し指がくっつく
親指以外の指の第3関節が凹む
鍵盤を強く押しつけると第1関節が凹む(反る)
第2関節で押すイメージになっている
指の腹をベタっと使う
指が弱いうちは力を使って鍵盤を押すと第1関節が凹む(反る)
手首や肘が下がると鍵盤を押したくなる
マムシ指のデメリット
何故、マムシ指だと良くないのでしょう
- スラスラと指が動かない
- 指が固まって広げにくい(可動域が狭くなる)
- 手首に力が入って突っ張る
- 指をしっかり支えられないので大きな音や深い音が出せない
- 手全体に力が入って疲れる
- 指の腹をベタっと使う(速く弾けない・響きのある音は出ない)
「手を丸く」の誤解や、椅子の座り方から改善していくことと、指の使い方動かし方など、どの筋肉を使うと良いかを知るとらくに弾けて、動きもなめらかになるでしょう。
では、次に筋肉の使い方と動かし方を見てみましょう。
親指の筋肉の使い方と動かし方
日常生活で親指を使う時と、ピアノを弾く時に使う親指の筋肉が違うことを知っていますか?
ピアノを弾く動きはある意味特殊で、無意識に動かすと日常の使い方になってしまうのかも知れません。
親指が凹むマムシ指の原因
- 一生懸命に指を動かしてピアノを弾くと、下の写真の赤の部位(母指内転筋)に力が入る
- 赤の部位を締めることによって①指(親指)と②指(人差し指)がくっついてしまう
- 手の平に力が入って硬くなる
親指が凹むマムシ指にならないために
- 緑の部位(短母子外転筋)の筋肉を使う
- 必要以上に指を丸くしない
マムシ指の改善法とメリット
親指が凹むマムシ指の改善法
親指の根元に紐を引っ掛けたり、片方の手で母子内転筋をつまんで、親指を人差し指にくっつかないようにやさしくマッサージしてみましょう。
関節ではなく、親指の付け根のところ(母子内転筋)から引っ張り出します。
2~5指が反るマムシ指の改善法
指そのものの形を気にしすぎたり、指を一生懸命動かそうとすると指の腹を使いたくなります。
しっかり、はっきりした音で弾こうと鍵盤を強く押してしまいます。
自然な丸みのある手のフォームで第3関節から動かすと、必要以上に指先の強さばかり意識をしなくなります。
この指の動かし方は手の構造を知ると理解が深まります。こちらに書きましたので参考にして下さい。
- 緑点を揉みほぐす
- 赤丸部分を広げるために青線の部分に片方の親指を当て母子内転筋を揉みほぐす
- 親指の第2関節に紐を引っ掛けたり、ヘアゴムなどで引っ張り出したりする
- 親指を必要以上に丸くする必要は無く、自然なまっすぐの形で良い
- 親指の第1関節で弾こうとせず、付け根から動かす
- 短母子外転筋を動かすイメージで弾く
- 手首が低いと、指の上げ下ろしをしたくなるので適度な高さが必要
※親指だけでなく他の指も、どの部分をどのように動かすのか「動かし方とイメージ」を次に書いてみます。
マムシ指にならないために:指の動かし方とイメージ
「きれいな丸い手の形」を作ろうとするだけで、不自然な力が入り手が硬くなります。
硬くなった手で一生懸命弾こうとすると、関節が凹んだマムシ指になったり、関節が凹まなくても動きの悪い力んだフォームで良い演奏は出来ません。
まず、手のフォームは外見の形では無いということです。
手の甲が山高に丸くすることをイメージするより、手の平を丸く自然なアーチを描くことを想像してみて下さい。
ピアノを弾くとは、「指を動かす」「第2関節をしっかり上げ下げする」と思いがちですが、そうすると手そのものに力が入ったり、手首が固まったり、挙げ句動かない指を作ってしまいます。
ピアノを弾く指の動かし方はこちらでも書きましたが、鍵盤を下ろす(すなわちピアノを弾く)には、自然な力(無理矢理では無い)で指を下向きに動かします。
鍵盤の深さは1センチなので、指の可動域は最大でも深さ1センチとなるわけです。
実際1センチを下げきり、連続に演奏することはないので、如何に一生懸命弾こうと頑張っているか…ということになります。
この1センチの深さを下ろすのは、どの筋肉を使ってるかわかりますか?
手の平の筋肉です。
指の付け根は第3関節(②③④⑤の指)なので、そこを動かすイメージで、となると手の平が重要ポイントになります。
手の平には、各指を動かすためにたくさんの筋肉があります。
使い方が悪いと、痛みが出たり痺れたりしますが、不自然に力んで使わない限りピアノ演奏での手の平の故障は少ないと思います。
※筆者感想
ピアニストの手って、親指側・小指側の外側の筋肉がとても分厚く、手の平の筋肉もスピード(指を手前に素早く引き寄せる・又は外へ払う)に負けない、鍛えられたものだなと思います。
最近は、演奏の手元がはっきりわかる動画もたくさんあります。
プロの指の使い方、筋肉の動きを見ているととても興味深く、参考になることばかりありますね。
動かし方のイメージ:トレーニングのいろいろ
では、小さなお子さんでもイメージ出来ること・やっていることをご紹介します。
- やわらかいボール・球形のスポンジを握る
- トイレットペーパーの芯を握る
- 指人形を使う
- 平たいスクイーズを押す
当教室でのそれぞれの使い方を書きます。
1.手の平のやわらかさをイメージするやわらかいボール
球形のスポンジを握るために、優しく包み込むように握ります。
その時に各指が手の平の中で、目一杯広げる感じです。
顔を洗うために、少しでもたくさんの水をためる感じになります。
やわらかいボール・球形のスポンジも100円均一で購入したものです。
2.トイレットペーパーの芯を握る
親指と人差し指がくっつかないイメージとして握ってもらいます。
この時、(鉄棒の握り手の形を話すと想像しやすい)やさしく握り手首を上下に動かします。
手の形を言った途端に手首や手自体が硬直する子がいます。
決して形にこだわるのではなく、力まず無駄な力を抜き①②指がアーチの形のまま手首が動くことがとても重要になります。
3.指人形を使う
これは、指を動かすイメージのトレーニングになります。
指人形をそれぞれの指にはめて、手の甲を下にして机の上にペタッと置きます。
手の甲は離さず指を起こします。(ピアノを弾く手をひっくり返した感じです)
一本指ずつ上に上げます。(手の甲が浮いてこないように)
この時の指の上げ方は、真上です。
子ども達には、「起立!」と声をかけ、決して手前に倒すような感じにならないように気をつけます。
これが、なかなか難しいみたいです。でもみんな楽しくやってくれます。
この動作が、鍵盤を下ろす動きであり、筋肉をトレーニング出来ることだと思います。
ピアノを弾く指は、必要以上に手の甲より高く上げなくても良いことを、何となく感じれるようになるみたいです。
4.平たいスクイーズを使う
今やスクイーズの種類はたくさんあり、見てるだけで楽しくなります。
レッスンではなるべく脱線したくない…と言うのが本音ですが、嬉しい気持ちも必要です。
スクイーズを押すことで、鍵盤を押し下げるイメージの練習です。
いろんな形で押す動作をすると、気持ち良かったり楽しかったりで、本来のゆっくり沈めるとか他の指に力を入れないとかが、混乱し的がはずれてしまいます。
なので、シンプルな平たいスクイーズ厚さ1センチのものでやります。
こちらも100円均一で購入したスクイーズトーストパンです。
この平たいスクイーズに、5本全部をセッティングして一本指ずつ1センチを押し下げます。
沈み込む感触や、ゆっくり動かすことで丁寧な打鍵の練習をしています。
決して指をバタバタ動かすことが、ピアノを弾くということではないことを、口で説明するよりも感覚でなんとなくわかるようです。
マムシ指を改善すると得られるメリット
マムシ指にならないためには、無駄な力を抜き、力まないこと。
いわゆる脱力が大事であるということになります。
脱力は、すべてに通ずる基本であり、一番難しい問題かも知れません。
もう一度手順良く、こちらのシリーズを復習してみてください。
得られるメリット
メリットは数知れずありそうです。
- 手が開きオクターブが楽になる
- 手首の力が抜け、音色やタッチなどあらゆる奏法に活用できる
- 指の支えが安定し響きのある明瞭な音や大きな深い音が出せる
- 手や指が楽になり肘や腕が解放される
- 音の強弱やニュアンスなどのバランスある音が出せる
などなど、他にもいろいろありそうで、メリットは多岐にわたります。
マムシ指・・という形にとらわれず脱力や打鍵のやり方など、いろいろな面から見直していきましょう。
マムシ指、脱力、打鍵のやり方など、他にもいろいろと本当にこれでいいのかな?どうすればいいのかわからない。
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